コラム

第1回:「挑戦を支える生態系づくりをめざして」NPO法人ETIC. 宮城治男

文: 宮城治男(NPO法人ETIC.代表理事)

昨今、さまざまな社会課題が声高に叫ばれる中、閉塞の日本に未来を拓く人材は、どこで育まれるのでしょうか。

こうした社会課題に対案を体現してゆく、次世代の担い手を生み出す土壌を耕すことが、まさに、私たちが社会から求められている挑戦といえます。そしてその「挑戦」は、これまでのETIC.やチャレンジ・コミュニティ・プロジェクトなどの活動の中で少しずつではありますが、みなさまと、着実に歩んできた先にあるものと考えています。

生まれつつあるチャレンジの連鎖

NPO法人ETIC.は、新しい事業づくりを通して次世代社会を創り出すことに挑戦する起業家型リーダーを育成・輩出し、社会のイノベーションに貢献することをめざし、1993年から情報発信、創業支援などの活動をスタートしました。

1997年からは、ベンチャー企業やNPOの「変革の現場」での長期実践型インターンシッププログラムを開始、若者たちが責任のあるポジションで、事業の成功に貢献することを通し、次世代の起業家型リーダーの育成に取り組んできました。

一方で、2001年から「社会起業」「ソーシャルベンチャー」というメッセージを日本に発信し、社会起業家を志す若者の事業プランコンペティション「STYLE」や、社会事業を立ち上げる若者を支援する
「NEC社会起業塾」などを通じて、 様々な社会の課題解決のための事業を担う起業家を育成に取り組んできました。93年以来、支援、輩出された起業家は200組を超えます。

また、地域から若者の挑戦機会を創り出す「チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト」に全国のプロデューサーのみなさまと取り組み、20を超える地域でインターシップや創業支援の取り組みがスタートするなど、チャレンジの連鎖が各地に広がっています。

さまざまな方々に支えられ、協働させて頂きながら続けてきた取り組みの中で、そこには、人が挑戦し、
それを支えていく生態系的な繋がりが生み出されつつあるといえます。

生態系(エコシステム)の加速へむけて

私たちは、これから日本において起業家やリーダーが輩出され、活躍していくためには、そのような、多くの人や経営資源が集い、相互に関わってくような関係性や文化の構築が不可欠であると考えています。

今回、その挑戦を支える繋がりをさらに加速し、日本中で新たなチャレンジが生まれ、社会を変える志高き事業が創造される基盤づくりを目指し、内閣府「地域社会雇用創出事業」 の一環として「ソーシャルビジネスエコシステム創出プロジェクト」はスタートしました。

まず、この場では、起業資金に加えて、人材、知識、信頼などの様々な「資本」を獲得し、新たなイノベーションが続々と生まれる、ソーシャルベンチャーの「ビジネスマーケット」を創り出すことを目指します。

さらには、活躍しているソーシャルベンチャーや地域変革に挑む企業が受け入れ先となった「実践型インターシップ事業」を通して、次世代にチャレンジしていくリーダーを育む場を創出し、同時に大学・自治体等とも連携し、さらなる協働プログラムの確立と地域への展開を促進します。

そして、国の支援も頂いて行うこれらの取り組みを、未来を拓くチャレンジが次々と生まれ、自己増殖していく繋がりの生態系、「ビジネスエコシステム」ともいえる社会基盤を創出し、その自律的な進化を生み出すための「投資」としたいと考えております。。

ご賛同くださる、多くのみなさまのご参画をお待ち申し上げております。